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世界は靖国をどう見ているか

2001年小泉首相参拝 (アメリカ・イギリス)
シンガポール
台湾
戦後60年にあたり (米・英・仏)
2005年小泉首相参拝 (マレーシア・シンガポール・台湾・米国・香港・英国・ベトナム・タイ)
2006年前半の報道より (シンガポール・フランス・アメリカ・イギリス)
2006年8月15日小泉首相参拝 (イギリス・シンガポール・オーストラリア・インドネシア・アメリカ・フランス・ドイツ)
アメリカ議会など
安倍新内閣(第一次)の発足にあたっての論評 (アメリカ・シンガポール)
2013年12月26日安倍晋三首相参拝(安倍第二次内閣) (アメリカ・ロシア・韓国・台湾・EU・イギリス・フランス・ドイツ・シンガポール・タイなど) New

2001年の小泉首相による最初の靖国参拝

2001年の小泉首相による最初の靖国参拝の際には参拝前から大きな議論となり、歴史教科書問題とあわせ、国外からも注目を集めた。

アメリカの新聞は保守系・リベラル系を問わず靖国参拝を非難、「過去を反省しない日本」という認識で一致していた。

米紙ワシントン・ポストは、「厄介な日本」と題する論文を掲載。日本の歴史教科書について「原爆投下は、南京の虐殺や帝国陸軍に奉仕した女性たちの性的奴隷化よりも強調されている」と述べた。

ニューヨーク・タイムズは社説で靖国問題を取り上げ、「首相は自らの政治力を、ナショナリズムの再生ではなく経済改革の推進に使うべきだ」と注文を付けた。

米政府関係者の発言を見ると、アーミテージ米国務副長官が教科書問題に関して「過去の問題に責任をとらない日本の態度は受け容れ難い」と述べた。またジョセフ・ナイ元国防次官補は、靖国問題に関して「(参拝は)やるだけの価値のあることだろうかと、多くの米国民は当惑している。国内的に得るものより、国際的な代価の方が恐らく高くつく。」「戦死者と戦争犯罪人が同じ所にいることが問題」と語った。

英紙フィナンシャル・タイムズは社説で、靖国参拝について「右翼勢力を喜ばせるためとしか受け取れない」と指摘し、「戦争責任についての謝罪」「侵略行為を含む歴史教育」「慰安婦への早急な賠償」などの必要性を訴えた。

シンガポール

2005年05月17日、シンガポールのリー・シェンロン首相が訪日を前に日本人記者団と会見し、小泉首相の靖国神社参拝について「日本の占領を経験した国に悪い記憶を思い起こさせる。シンガポール人を含む多くの人にとって、靖国参拝は日本が戦時中に悪い事をしたという責任を受け入れていないことの表明、と受け取れる」「戦犯をあがめる対象にすべきではない」と語った。

さらに、(ドイツは反省と正しい歴史教育に基づいて欧州諸国とよい関係を築いてきたが)「アジアでは同様のことが起きていない。そのために過去に区切りをつけられず、被害の記憶から抜け出すことを難しくしている。建設的に未来に進むことを妨げており、残念だ」と教科書問題を含めた日本の対応を批判した。

台湾

台聯党首の靖国参拝
 台湾の最大与党・民進党と連立を組む、李登輝・前総統を精神的指導者として結党された台湾団結聯盟(台聯)の蘇進強・主席らが、日本支部の設立に合わせて訪日し、2005年04月04日に靖国神社を参拝した。
 これに対して翌日、一行が台湾に戻ったところ、空港において「台湾人の魂を日本にを売り渡した」「先住民に謝罪しろ」など激しい抗議活動が展開された。
 また、最大野党・国民党は「靖国神社は日本軍国主義の象徴であり、政党の代表が参拝すべき場所ではない」などと強く非難、親民党の代表も「台聯は日本軍国主義の手先になった」「台湾人が日本の軍隊に入ったのは自ら志願したものか?」と非難した。
 連立与党を組む民進党の頼清徳・幹事長は、「蘇進強氏は政党のリーダーであり、特に日本と台湾の特殊な関係を考慮して言動は慎むべきだ」と述べた。

「高砂義勇隊」遺族の抗議
 第2次世界大戦中、日本軍兵士として南洋戦線に送られて戦死し、靖国神社に祀られた台湾先住民族らによる部隊「高砂義勇隊」の遺族ら60人が、戦死した親族などが日本の靖国神社に合祀されていることに抗議し、2005年6月14日に家族や仲間の魂を取り戻す儀式を同神社周辺で行おうとしたが、右翼団体の街宣車による妨害などのため、儀式は中止に追い込まれた。

戦後六十年にあたっての各国の報道より

米紙ニューヨーク・タイムズ(2005年06月22日付)
靖国神社を「日本のために無罪判決を求める戦争神社」とする記事を、半ページを使って掲載。靖国神社は「軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心」であり、「日本と近隣諸国との関係悪化の核心」をなしていると論評。「靖国史観は、ほとんどのアジア人、米国人にとって受け入れることはできない」と述べた。さらに右翼の街宣車が靖国神社に集まる異様な状況や、彼らの主張に反対する人々や団体に攻撃をむける様子を報告した。

USAトゥデー(米国最大の発行部数を持つ米唯一の全国紙)(2005年6月23日付)
第8、9面を使った見開き特集で、「東京の神社がアジア中の怒りの的」と題する記事を大きく掲載。小泉首相の靖国参拝が日本に占領、蹂躙された国々を怒らせ、日本外交の最大の問題になっていると指摘。また、靖国神社の実態を紹介し、過去の戦争を正しい戦争だったとする「靖国史観」に言及。靖国神社のWebサイトで、真珠湾攻撃やアジア侵略を正当化していることや、14人の戦犯を『連合軍のでっちあげ裁判で戦犯の汚名をきせられ』た殉難者だと描いていることなどを伝えた。

仏紙ル・モンド
(2005年6月28日付)「侵略戦争を肯定する靖国神社への小泉首相の参拝が中国や韓国などアジア各国から怒りを買っている」「(靖国神社の戦争観は)アジアや西側の歴史家の誰も受け入れることはできない」
(2005年8月17日付)「小泉首相は、政権に就いて以来毎年、東京国際法廷によって裁かれた戦犯がまつられている靖国神社を参拝することで無益にも近隣諸国との関係を悪化させた」「(参拝は)戦犯の復権と過去の免罪と受け止められている」

英紙フィナンシャル・タイムズ
(2005年7月19日付)「靖国神社に隣接する博物館(遊就館)は日本の戦争記録を恥知らずにも美化し、南京大虐殺のような"事件"を言いつくろっている。」と批判する記事を掲載。
(2005年8月29日付)「郵便より世界は広い」と題する社説で、日本の衆院選で、小泉首相は靖国参拝問題や対中関係など重要な外交問題を無視していると批判。

2005年10月17日の小泉首相の靖国神社参拝をめぐる世界の反応

マレーシアの中国語紙星州日報
「小泉純一郎 靖国神社参拝くりかえす」の見出しで、直前の違憲判決にも関わらず5度目の参拝を強行したことを報道。

シンガポールで最大の華字紙・聯合早報
「靖国神社は日本のかつての軍国主義の象徴といわれており、彼の行動は、日本の隣国を怒らせるに違いない。靖国神社は、すでに、日本の右翼勢力の精神的支柱と集会の場となっている」と指摘。

シンガポールで最多部数の英字紙ストレーツ・タイムズ(18日付)
「今回の参拝は、アジア近隣諸国との関係より、個人的な儀式への愛着の方が首相にとっては大切ということを再び示した」と批判する解説記事を掲載。

マコーマック米国務省報道官の定例記者会見(17日)
歴史をめぐる中韓両国などの憂慮に「地域の歴史や(中国や韓国の)懸念の根拠についてわれわれは理解している」と理解を示した上で、「懸念を持つ国々が友好的な精神で対話を通じて懸念を解消するため、日本政府と共に取り組んでいくよう望む」と述べた。同報道官は翌日の会見でも「(靖国問題の)歴史的懸案事項を理解している」と語った。
朝日新聞などの記事によると、このような報道官の発言の背景として、米国の知日派はもとより、ブッシュ政権内でも小泉首相の靖国神社参拝を評価する意見が皆無であることがある。

米下院外交委員長が駐米大使に書簡(20日)
ヘンリー・ハイド下院外交委員長(共和党)が加藤良三駐米大使宛てに書簡を送り、小泉純一郎首相と閣僚らの参拝を批判。「靖国神社は、太平洋戦争での(日本の)軍国主義的な立場の象徴」と指摘し、「日本政府関係者らが靖国神社参拝を続けていることを遺憾に思う」と表明。

米紙ロサンゼルス・タイムズ(17日付)
国内外の批判をよそに小泉首相が靖国参拝を行った」と報道。小泉首相は従来のように正装ではなかったが、「それは靖国神社参拝自体を国粋主義是認と見る人々をなだめるには十分ではないだろう」と指摘。

米紙ニューヨーク・タイムズ(18日付)
東京の無意味な挑発」と題する社説を掲載。「首相は参拝によって日本の軍国主義の最悪の伝統を公然と奉ずる挙に出た」と厳しく批判し、「日本は誉れある21世紀を迎えられるよう、今こそ20世紀の歴史に向き合うべきだ」と結論づけた。

米紙ワシントン・ポスト(18日付)
「彼(小泉首相)の態度は第二次世界大戦の正当化と賛美を象徴するもの」

米紙クリスチャン・サイエンス・モニター(21日付)
遊就館(靖国神社に併設された博物館)のルポを掲載し、遊就館における展示の「罪を認めない国粋主義、天皇崇拝、軍隊賛美」が「アジアの人々がなぜ懸念し続けているのかの根拠を如実に示している」と指摘。

台湾外交部(外務省)スポークスマン(17日)
小泉首相の靖国神社参拝について「日本は過去の歴史を正しく見てほしい」と批判。

香港の中国語紙明報(電子版)
「小泉首相は、アジアの隣国の反対を無視し、A級戦犯が祀られている靖国神社に参拝した」

英紙フィナンシャル・タイムズ紙
(18日付)「(参拝が)中国と韓国の怒りを引き起こしている」「(A級戦犯を祀っており)多くのアジア諸国が神社は日本の戦時中の残虐行為への謝罪拒否を示す象徴だと主張している」
(24日付)「日本が"普通の国家"として受け入れられたいならば、近隣諸国との対話を進めなければならない」「戦後60年の終戦記念日に小泉首相が出した「痛切な反省と心からのおわび」の談話の外交的成果も台無しになった

英紙ガーディアン(18日付)
「参拝が中国と韓国の怒りを招いている」「(中国と)いっそうの関係悪化が進むことが予想される」

ベトナム・ハノイ紙アンニン・トゥドー
東アジアに荒波」の見出し

タイの英字紙バンコク・ポスト(17日)
「第2次世界大戦期間中、日本はアジアの国々に野蛮な罪の行為を犯したが、靖国神社でA級戦犯の位牌を祀っている。小泉首相は2001年4月就任して以来、既に靖国神社を5回参拝した。この行為は日本の中国と韓国及び東南アジア諸国との関係に大きな影響をもたらし、日本軍国主義者の暴行を受けた被害国の人々の感情を傷つけた

2006年前半の報道より

小泉首相の参拝をめぐる記事のほか、麻生外務大臣の問題発言に対する論評などがあった

シンガポール ゴー・チョクトン上級相(前首相)
(2006年2月6日 アジア太平洋円卓会議で基調講演にて)
「日本の指導者たちは(靖国)参拝を断念し、戦犯以外の戦死者を悼む別の方法を考えるべきだ」
この件に関して、日本は外交的に孤立している。アジア諸国だけでなく、米国でさえ日本の側に立つことはできない」

仏紙ル・モンド(2006年2月11日付)
「(小泉首相による参拝は)私人の資格であっても、国際法廷で裁かれた人物を国家がたたえ、軍国主義の過去を免罪しているように見える
また、戦前の「超国家主義のイデオロギー的支柱」であった同神社は現在も「政治的なメッセージを伝えている」と指摘した。

米紙ボストン・グローブ(2006年2月8日付社説)
「日本の右翼政治家たちは、近隣諸国の人々を攻撃する危険な習慣をつくっている」
麻生外相が、台湾の高い教育水準は日本の植民地時代による教育のおかげだと「愚かにも宣言した」ことは「この挑発傾向を例示した
このほか、日本の新しい国粋主義者たちは、日本帝国主義の過去には「善行があったという神話」を触れ回り、それが「軍国主義の精神を復活させる意図」とも結びついていると紹介。

米紙ニューヨーク・タイムズ(2006年2月13日付社説)
靖国神社参拝や植民地統治をめぐる麻生外相の発言をめぐって「日本の無礼な外務大臣」と題する社説を掲載
(天皇の靖国参拝を求めるなど、麻生氏の最近の言動が)「周辺諸国を傷つけている」
麻生大臣の外交センスは彼の歴史認識と同様におかしい

ジョンズ・ホプキンズ大学ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長
「戦争を正当化することは、日本と戦った米国の歴史観と対立する。異なった歴史解釈のうえに安定した同盟は築けない」
多くの米国人が靖国を知るようになると、日米関係の障害となりかねない

カート・キャンベル米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長
(2006年05月24日 都内でのシンポジウムにて)
「(小泉首相の靖国参拝で)今起こっていることは日本のためにならない、ということで専門家の意見は一致している」
「ASEAN(東南アジア諸国連合)の多くの国が私に『何で米国は日本を非難しないのか』と言う。克服すべき問題だ」

英誌エコノミスト(2006年7月1-7日号)
(小泉首相による米議会での演説が実現せず、プレスリー旧宅訪問となったことについて)
「場所の変更は、十四人のA級戦犯を含む戦死者をたたえる靖国神社を首相として五度訪問したことへの懸念から生じているとみられる。アジアでは日本への不信が極めて強まったが、それは米国でも存在する」

英紙フィナンシャル・タイムズ(2006年6月30日付)
「(靖国神社と遊就館が)日本兵が栄誉に満ちた解放者や犠牲者であり、侵略者ではないとする、桜の花のように美化された歴史観を訪問者に示している」
遊就館の展示については「南京大虐殺を解放として展示し、日本の化学兵器使用や人体実験、韓国人の性的奴隷(従軍慰安婦)は省かれている。パールハーバー爆撃は…連合国の封鎖で強いられたとしている」と述べ、こうした歴史観に、中国や韓国だけでなく米国の政府当局者も「不快感を感じている」と指摘した。

2006年8月15日の小泉首相の靖国参拝をめぐる世界の反応

英 ロイター通信
「(参拝は)『小泉劇場』の最終幕だろう」
「(靖国参拝の)公約は信念というより、遺族会の支持を取り付けるための手段とみられている

シンガポール外務省(報道官声明)
「小泉首相の靖国参拝は遺憾だ。靖国問題は日本の内政であると同時に、国際外交上の懸案事項でもある。中韓はじめアジアの国々で反発を呼び起こし、緊密な関係と協力関係を築くという地域共通の利益に役立たない」

シンガポール ジョージ・ヨー外相
(自民党の茂木敏充衆院議員との会談で)「参拝を大変残念に思っている。日本にとっても決してよいことではない」

オーストラリア ダウナー外相
(記者団に対して2週間前の訪日に触れて)「小泉首相には、豪州はA級戦犯がまつられていることを憂慮しているし、地域の人々の居心地を悪くしていると伝えたのだが……」

インドネシア ハッサン外相
「何度も繰り返されてきた問題であり、コメントしたくない。アジア太平洋地域の平和と安定に寄与するような未来志向の解決を望む」と不快感を表明

米紙ニューヨーク・タイムズ
(小泉首相の姿勢は)「挑戦的」
「米国の当局者から警告されているのに参拝した」

イギリス 報道の各見出し
BBC「小泉の神社訪問は怒り呼ぶ」
ガーディアン「日本のリーダー、戦争神社参拝
フィナンシャル・タイムズ「日本の首相、戦争神社礼拝の公約を実行

英紙インディペンデント(16日付 電子版)
(遊就館の展示は)「中国と韓国への侵略を『防衛的』とする」など、「戦争の歴史を厚顔無恥に書き換えている

英紙フィナンシャル・タイムズ(16日付)
日本の犯罪を名誉としアジアでの日本の侵略を無視するこの記念碑(靖国神社)を小泉首相がしつこく参拝したことは、アジアでの日本のリーダーシップの望みを傷つけ、日本の国連安保理常任理事国への支持を失わせた

仏紙リベラシオン(16日付)
(オーストリアの極右政治家ハイダー氏と小泉首相の共通点として)「急進的自由主義と過去への愛惜の思いに加え、人類に対する罪を擁護しようという傾向がある」 「ハイダー氏が権力の座に就き、(ナチス政権下の)ドイツ帝国の犠牲者らを愚弄する様子を想像してみればいい。小泉首相のしたことはそれに近い

仏紙フィガロ(16日付)
「(靖国神社は)唖然とする二十世紀の日本史観」に立っていると指摘。
「首相が保証を与え、あるいは少なくとも弁護しようとしているのは、悔い改めようとしないこの愛国史観である」

南ドイツ新聞(16日付)
「小泉首相は、靖国神社参拝という反抗的で愚かな行為を最後に国際政治の舞台から去ることになった」とし、日中関係悪化の原因は首相の靖国参拝にあると断言。今回の参拝で小泉政権の外交は「無分別の極みに達した」と批判。

アメリカ

2006年09月14日 米下院の外交委員会にて

ラントス筆頭委員(民主党)
(小泉純一郎首相の靖国神社参拝は)「日本の歴史に関する健忘症の最もひどい例だ」
「A級戦犯が合祀された靖国神社への(日本の首相の)参拝は、ドイツのヒムラー(ナチスの親衛隊長官)やヘス(ナチス副総統)、ゲーリング(同元帥)の墓に花輪を手向けるのに等しい

ハイド外交委員長(共和党)
「(遊就館の展示は)日本がアジアを西欧の帝国主義支配から解放したと若者に教えている。戦争を経験した世代として困惑している」
「この博物館で教えられている歴史は事実に基づかない」



2006年12月14日 北京市内で開かれたフォーラムにて

ブッシュ米元大統領(パパ・ブッシュ)
(靖国神社は)「戦犯を他の戦死者と一緒にまつり、第二次世界大戦の歴史を歪曲している
(その展示物は)「歴史から逸脱している」

安倍新内閣の発足にあたっての論評

米紙ワシントン・ポスト紙(2006年9月25日付社説)
(安倍氏は)過去をごまかすことでは小泉首相より上だ。安倍氏は東京裁判の正当性を疑問視してきた」
「新首相は歴史に誠実でなければならない」「過去の誤りを認めないなら責任ある民主主義として受け入れられないだろう」

米紙ニューヨーク・タイムズ(2006年9月27日付社説)
「安倍晋三氏のアジアにおける課題」と題した社説を掲載
小泉首相の誤りは「醜い侵略の歴史を美化した」ことだったと指摘し、安倍首相に対して「過去の失敗を大胆に捨て去る必要がある」「第一歩として前首相が挑発的に繰り返した靖国神社参拝をやめると宣言すべきだ」と要請。

シンガポール紙ストレーツ・タイムズ(2006年9月29日 電子版)
「安倍は明確な靖国問題で疑問の余地を残してはならない。もし彼が神社参拝を選べば、日本の指導者や天皇が過去に示した悲しみと後悔の表現は取り消されてしまう。小泉が鼻であざけったあとに北東アジアを包んだ冷気は長くとどまることになろう」

2013年12月26日の安倍晋三首相の靖国参拝をめぐる世界の反応

在日米国大使館 26日声明
「近隣諸国との関係を悪化させる行動を取ったことに、米国政府は失望している

米政府当局者(26日、共同通信の取材に答えて)
米政府の努力を無にする行為だ」と厳しく批判

米国務省 サキ報道官名の談話(26日)
「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、米政府は失望している」など
(「大使館の声明にとどめたのは米側の配慮」とする首相サイドの「解釈」を否定する格好で、在日米国大使館の声明と同内容)

米国務省ハーフ副報道官
30日の記者会見で在日米大使館や国務省の声明で述べられた立場を改めて表明
「今回の場合、日本の指導者が隣国との緊張を悪化させる行動をとったことに、われわれは失望していると繰り返す」
選んだ言葉から米国のメッセージは明白だ

知日派のアーミテージ元米国務副長官が訪日した際、自民党幹部に「靖国神社参拝は絶対にやめてくれ。積み上げたものを全て壊す」と述べる(2013年10月30日)など、外交ルートを通じて首相に参拝を控えるよう再三求めていた。米側の意向を無視する形で参拝が強行されたことに対して、「遺憾」などではなく異例の踏み込んだ表現を使っての非難となった。

ロシア外務省高官声明(26日)
「日本の一部勢力は、第2次大戦の結果をめぐり、世界の共通理解に反する偏った評価をしている」
「このような行動(参拝)には遺憾の意を抱かざるを得ない」
歴史への正しい理解が、軍国主義と戦った近隣諸国との関係の重要な土台となると確信する」と表明。

韓国政府声明(26日)
「誤った歴史認識をそのまま表したものであり、韓日関係はもちろん、北東アジアの安定と協力を根本から損なう時代錯誤の行為

台湾外交部(外務省) (26日声明)
日本政府や政治家は史実を直視し、歴史の教訓を学ぶべきだ。近隣国の国民感情を傷つけるような振る舞いをすべきではない」

欧州連合(EU)報道官 (26日声明)
「地域の緊張緩和や、日本の近隣諸国、とりわけ中国、韓国との関係改善にはつながらない」との声明を発表。
東アジアの不安定化につながりかねない」との懸念を表明。

国連・基文(パン・ギムン)事務総長報道官(27日声明)
「過去の緊張が依然として(北東アジア)地域を苦しめているのは極めて遺憾」と懸念を表明。
他者の感情、とりわけ犠牲者の記憶に敏感である必要性」などを指摘。

米国ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(26日声明)
「首相として、国の戦争で亡くなった人を追悼する権利はあるが、それは戦犯に対してではない。戦争犯罪や人道に対する罪を命令・実行した責任者への敬意と混同させるのは道義的に間違っている

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(26日付)
「アジアの周辺国が軍国主義の象徴とみなす神社を首相が訪問した。自身の保守的な支持基盤へのアピールが目的とみられている」と報道。
首相の靖国訪問は東京とワシントンの絆を傷つける」とする識者の見方も紹介。

米紙ニューヨーク・タイムズ
日本の危険なナショナリズム」と題した社説(27日付)を掲載。
「日本は安定した同盟国になるどころか、中国との論争が原因で、米国高官にとってアジアの新たな問題国になってしまった」(27日論評記事)

米ロサンゼルス・タイムズ紙(27日付)
「中国、韓国との緊張関係をさらに緊張させる行動を取らないようにとの米国の助言を無視した」と非難

ワシントン・ポスト紙(28日付社説)
「(靖国神社参拝は)自らの国際的な立場と日本の安全保障を弱化させる恐れが強い挑発的な行為
「(参拝によって)安倍氏は自分の掲げる政策と戦前の帝国への懐古を結びつけているように見え、自分自身の目的を傷つけている」

英BBC(26日)
「(安倍首相は)根っからのナショナリストで、歴史を見直そうとする人物だ」との評。

英紙フィナンシャル・タイムズ (26日付)
安倍首相が「右翼の大義」の実現に焦点を移しつつあるとの見方を示した

仏紙ルモンド (26日付)
「(靖国神社は)第2次世界大戦後、戦犯として認定された日本の指導者たちもまつっている
「(安倍首相は)平和憲法の修正を願っている」と警戒感を示す記事

ドイツ週刊紙ツァイト (26日付)
「日本の戦後史は、重大なことをささいなことのようにみせることを特徴としている。ドイツでは第2次世界大戦の犯罪は清算されてきたが、日本では今日に至るまで多くが成されないままになっている

ドイツ紙フランクフルト・アルゲマイネ (26日付)
日本が「過去の罪を反省していない」ことを強く批判する論説を掲載

ドイツ政府 ザイベルト報道官 (30日の記者会見で)
「各国は20世紀の恐ろしい戦争で果たした役割に応じて誠実に行動しなければならない。それによりかつての敵と未来を築ける」
「ドイツはこれを肝に銘じており、これはすべての国に同じように適用されると思う」

インド紙ヒンドゥスタン・タイムズ(27日付)
靖国・戦争神社」と題する解説記事を掲載。
「(靖国神社は)多くの人にとって受け入れがたい歴史解釈を広めようとしている」
「併設されている博物館は日本を第2次大戦の被害者として描いており、アジア各国を侵略した日本軍の残虐行為について十分な言及がない

オーストラリア紙オーストラリアン (28日付社説)
「日本のオウンゴール」との表現で、自ら招いた外交的失点と指摘

シンガポール外務省 (29日声明)
「シンガポールは安倍首相の靖国神社参拝を残念に思っている参拝は古傷をえぐるような行為で、この地域の相互信頼の構築にマイナスとなる」

ベトナム外務省 ルオン・タイン・ギ報道官 (31日、共同通信の質問に書面で回答)
批判の直接的文言はないが、あくまで日本側に問題解決の責任があるとの厳しい考えを示し、
「日本が地域の平和と安定、協力のために、問題を適切に処理することを希望する」

米誌アトランティック(2014年1月2日付)
靖国神社にある軍事博物館「遊就館」について、20世紀の出来事をめぐり「日本を被害者」とする「信じられないほど偏向した解釈を提示している」と指摘。
「(展示内容は)極右陣営の観点から戦争を書きかえたのも同然」「中国人や韓国人だけでなく、ほとんどだれもが不快に感じるだろう」などの声を紹介。

■2014年1月1日、安倍首相に続き新藤義孝総務相が靖国参拝

米国務省ハーフ副報道官 (2014年1月2日の記者会見にて、新藤総務相の参拝について)
「我々は日本に対し、近隣諸国と協調し、対話を通じた友好的な方法で歴史(認識)をめぐる懸念を解消するよう働き掛け続ける」と述べ、不快感を表明。
「近隣諸国との緊張を高める行動は誰にも取ってほしくない

台湾外交部(外務省) 2014年1月1日夜、新藤総務相の参拝を受けて声明
「(参拝は)地域の関係国に懸念と不安を生む」
日本政府と政治家は史実を正視して歴史の教訓を心に刻み、近隣国や国民感情を傷つけるような行為をしてはならない」と改めて批判

エジプト外交委員会 ムハマド・サケット委員(アラブ連盟の元中国駐在大使)
「第2次世界大戦中、日本は中国人民に対して、残酷非道な罪悪行為を犯した。現在、安倍氏は中国の政府と国民の感情を無視し、第2次世界大戦のA級戦犯が合祀されている靖国神社を参拝した。このような行動は中国国民の痛ましい記憶を呼び起こし、その感情をひどく傷つけた」

インド クルシード外相 (2014年1月6日、インド訪問中の公明党の山口代表との会談で)
日本は歴史的にいろいろ経験し、振り返って正しくないこともある。(歴史を)学習して先に進むのがベストだ」

タイ 英字紙バンコク・ポスト(2014年1月7日付社説)
「(安倍首相の参拝は)無神経」「必要のない攻撃的な行動で、あらゆる近隣諸国の神経を逆なでした」
「数億人ものアジア諸国民に拷問や虐殺などの被害を与えたことに責任のある疑いなき戦争犯罪者を祀っている
「(安倍首相が不戦の誓いは)残虐な戦争犯罪者の追想の中で、こうした誓いをするのは奇妙だ」
首相が中韓両国について発言しながら、旧日本軍から大きな被害を受けた東南アジア諸国に言及しなかったことも問題点に挙げて「第2次大戦を生き抜いたタイ人の多くが自国の過去の犯罪に無神経に敬意を払う安倍氏に衝撃を受けている

台湾 馬英九総統 (2014年1月11日、自身のフェイスブックのページで)
台湾外交部(外務省)の声明からさらに批判のトーンを強める形で、
(安倍首相による靖国神社参拝は)「東アジア地域の安全に対する不安定要素を生じさせた」
「日本政府が周辺国の歴史の傷を顧みず、こうした行動をとったことは失望するだけでなく、理解しがたい

エド・ロイス米議会下院外交委員長 (2014年1月12日、韓国・聯合ニュースのインタビューに答えて)
「(安倍首相の靖国参拝は)誤りと考える。歴史をありのまま認め、そこから教訓を得るべきだ」と批判。
慰安婦問題にも言及「貧しい少女らが監禁されて性的奴隷になったことを認め、補償の方法も考えねばならない」

References:
朝日新聞
毎日新聞
東京新聞
しんぶん赤旗
共同通信

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