【2003年の動き】
小泉首相は一月に参拝
小泉首相は1月14日午後2時、首相としては一昨年8月、昨年4月に続く3度目の参拝を行った。
首相は公用車で靖国神社に到着し、本殿で参拝。「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳した。神道形式の「二礼二拍手一礼」での参拝は行わず、一礼しただけ。玉ぐし料の代わりに私費で献花料3万円を納めた。
昨年4月の春季例大祭当日の参拝では「熟慮の上、本日を選んだ」と説明していたが、外交日程を睨んだ姑息なスキ間探しの結果、今年はさらに時期を前倒ししたと見られている。
首相は記者団に対し、「お正月ですし。新たな気持ちで行く。平和のありがたさをかみしめて、二度と戦争を起こしてはいけないという気持ちで参拝したいと思います」と述べている。しかしこれには「平和を祈願すると言いながら戦犯をまつる靖国神社に参拝することは理解しがたい」(金恒経・外交通商次官) など当然の非難の声があがった。
春季例大祭の靖国神社に「国会議員の会」の74人が参拝
「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長・瓦力元防衛庁長官)は4月22日朝、春季例大祭中の靖国神社を集団参拝。閣僚では平沼赳夫経済産業相が参加し、他に自民党の橋本龍太郎元首相、山崎拓幹事長、古賀誠前幹事長、保守新党の二階俊博幹事長、民主党の羽田雄一郎参院議員、自由党の一川保夫衆院議員ら国会議員74人が参加。代理参拝は108人だった。
「参拝する会」は春秋季例大祭と終戦記念日の年3回、恒例行事として同神社に集団で参拝している。
終戦記念日
8月15日午前、東京・九段の靖国神社に、鴻池祥肇構造改革特区担当相、亀井善之農相、谷垣禎一国家公安委員長、平沼赳夫経済産業相の4閣僚が相次いで参拝。塩川正十郎財務相と片山虎之助総務相は14日までに参拝をすませていた。このうち平沼、谷垣両氏は、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会のメンバー55人で集団参拝した。
石原慎太郎東京都知事は15日、4年連続となる終戦記念日の公式参拝を行った。
政権公約
小泉首相は8月15日首相官邸で記者団に、自民党総裁選に掲げる政権公約(マニフェスト)に終戦記念日の靖国神社参拝を盛り込むかどうかについて「諸般の事情を考え、15日は避けると。すでに2年前に申し述べた通り」と、公約にしない考えを示した。
首相は2001年の総裁選の際に「8月15日の戦没慰霊祭の日に、いかなる批判があろうと必ず参拝する」と明言していた。
首相の矛盾
全国戦没者追悼式(政府主催)の式辞で小泉首相は「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と述べ、「深い反省」と「哀悼の意」を表明している。しかし靖国神社が国民を戦争に動員し、戦意をあおる役割を果たしてきたことは歴史上の事実であり、現在もその性格はそのままに、A級戦犯を含む戦没者を国家の英雄と讃え、神として祀っている。首相が日本の加害責任に触れ、反省の意を表明する姿勢は評価できる。しかしそれは靖国神社参拝行為とまったく矛盾していることに気付かねばならない。
また、首相はたびたび「不戦の誓いを堅持する」と述べているが、この言葉はアメリカによるイラク戦争支持と整合するのか。上辺だけの言葉ではなく、行動で「不戦の誓い」を示さなくては意味がない。
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